エコカー減税の落とし穴

リーマン・ショック後、長く低迷していた日本の自動車市場が持ち直した1
つの要因が「エコカー減税」だったと考えられています。しかしエコカー減税
は、景気に対する一種のカンフル剤として慌てて法案化されたため、結果とし
て極めてアンフェアで、効果が曖昧な政策が実行されることとなってしまった
のではないでしょうか。
エコカー減税では、排ガス規制や燃費改善策を基にした「環境適合車」の基
準が設けられました。しかしこの基準を、日本の閉鎖性と行政の欺瞞の象徴で
しかないと考える人も少なからずいました。
認定基準の中の「重量クラスあたりの目標燃費に対する達成率」を取ってみ
ても、目標燃費の基準がクルマの重量が軽くなるほど厳しくなるために、絶対
的に燃費のいいはずのスモールカー、コンパクトカーよりも、ボディの大きな
ミニバンが優遇税制の恩恵を受けることとなってしまうという矛盾を生んでい
ました。このような日本独特の政策への対応を行ってこなかった海外メーカー
は、本来燃費効率に優れた商品であっても「非エコカー」の烙印を押され、理
不尽なまでの「お客離れ」を招いてしまったほどです。
そもそもが環境対策であったはずのエコカー減税ですが、最初から目標の明
示もなく、また検証もないままであることから、そこまでの成果は上がらなか
ったのではないでしょうか。経済政策としても、大型でハイパワーな車や高級
車への買い替えが控えられたことから、上級車の市場は縮小してしまったよう
に感じられて仕方ありません。スモールカーやコンパクトカーなどのエコカー
は、メーカーの利益から考えるとそこまで旨味のある商品だとは言えません。
エコカーからエコカーへの乗り換えばかりが進むと、メーカーも販売会社もい
つしか干上がってしまいます。ユーザーがそれぞれのニーズやライフスタイル
に合った車を、クラスやカテゴリーに関わらず選択していけるような制度を設
けることが必要とされていくでしょう。